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感動をお届けできるサービスを提供する会社へ。「新生ケンコーマヨネーズ」誕生に向けて私たちは、動き出しています。
平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。2024年度からスタートした中長期経営計画『KENKO Vision 2035』のもと、当社の事業構造の改革は順調に進捗し、一部の経営目標の早期到達を果たしました。こうした業績の向上と直近の事業環境の変化を踏まえ、2026年2月、経営計画の見直しと、経営目標の指標および数値の更新を発表しました。持続的な企業価値向上を目指し、ケンコーマヨネーズはどう変わろうとしているのか、詳しくお話しさせていただきます。
代表取締役会長兼社長
一部経営目標の早期到達を踏まえ、『KENKO Vision 2035』を見直した

当社は、1958(昭和33)年に創立し、外食・中食産業を支える業務用食品メーカーとして成長、発展を続けてきました。その間、1977年に業界初のロングライフサラダを発売して新たな市場を創造したり、1986年に業務用「ごぼうサラダ」を発売してサラダの新定番を作り上げたりなど、サラダを中心に食のシーンをさまざまに彩る商品・メニューを開発し、業界における確かなポジションを築いてきました。
しかしながら、2020年からのコロナ禍、それに続く2023年の高病原性鳥インフルエンザの影響によるエッグショックと、業績としてとても苦しい時期を経験し、会社の存続と持続的成長の道程を改めて見つめ直さざるを得ませんでした。そして、2024年度にスタートさせたのが、中長期経営計画『KENKO Vision 2035』です。以前のように中期の3年スパンで物事を考える時代ではない。もっと先の“ありたい姿”を描き、そこを目指し、社員が一つになって前進していくことが重要だと考え、当社初となる12年間の中長期計画としました。
『KENKO Vision 2035』は12年をかけて会社を大きく変革する挑戦で、最初の4年間を「Phase1事業構造の改革」と位置づけています。そのPhase1の前半2年間(2024、2025年度)は、インフレ基調が継続する中、生産効率の改善に向けた取り組みやコスト削減、お客さまの深いご理解と社員の頑張りによる価格改定の実行により、営業利益が当初計画から大きく上振れる着地となりました。特にROEは、2035年度目標値8.0%をも上回る8.9%を2024年度に達成しました。
こうした一部の経営目標の早期到達を踏まえ、また、原材料費・人件費・エネルギーコストなどの上昇といった外部環境の変化に対応していくためにも、今こそ「資本コストや株価を意識した経営」をさらに深化させ、思い切った経営施策を打つべきときだと判断しました。その経営施策のパッケージが、2026年2月に発表した『KENKO Vision 2035』の見直しです。
「マーケットIN」から「顧客IN」へ発想を広げビジネスパートナーとの共創を深めていく
『Global Food Solution Company』への転換 食の「困った」を「ワクワク・ドキドキ」に変える。――これが、『KENKO Vision 2035』見直しにあたって打ち出した、私たちの新しいコンセプトです。これまで私たちは、品質とおいしさにこだわった食品の製造・販売に取り組んできましたが、これからはさらに一歩進んで、お客さまに感動をお届けできるサービスの提供を目指そうと考えました。その変革への強い意思を新しいコンセプトに込めるとともに、3つの柱からなる基本戦略のアップデートを行いました。
基本戦略アップデートの第一の柱が、「『事業ポートフォリオの再構築』と『成長戦略』の見直し」です。特に既存事業の販売を拡大していくためにも、「マーケットIN」から私たちの原点である「顧客IN」の発想を改めて大切にし、ビジネスパートナーとの共創を深めていくことが、当社として最も取り組まなければならないテーマだと考えています。
私たちは「心身(こころ・からだ・いのち)と環境」を大切にし、「食を通じて世の中に貢献する。」ことを使命としています。この理念を土台に置きながら、私たちの強みである商品開発、メニュー提案、安全・安心な食の安定供給をもって、お客さまに向き合い、コミュニケーションを重ね、行動していく。この「顧客IN」の発想こそが私たちの原点であり、これからも続けていかなければならない前提となる部分です。より磨きをかけていくことが会社の成長につながっていくと考えています。
私たちは、ハンバーガーチェーン、コンビニエンスストアなど、多くの業界トップの会社さまとお取り引きさせていただいています。各社のビジネスに対する高い期待や品質基準の中で鍛えられ、商品開発、メニュー提案、品質管理、安定供給など、業界No.1が求める水準をクリアしてB to Bの実績を積み上げてきました。こうしたビジネスパートナーとの共創をさらに広げ、共創の中から学び、商品・サービスの質を高めていかなければなりません。「顧客IN」と「共創」を徹底してこそ、お客さまに感動していただける価値を作り出せると確信しています。
海外売上高比率の2035年度目標を10%から30%へと引き上げた
成長戦略の大きな鍵となるのが、海外事業です。今回の中長期経営計画の見直しでも、海外売上高比率の2035年度目標を、10%から30%へと大きく引き上げています。私自身、2000年に社長に就く以前から、日本だけにとどまっていたのでは大きな成長は望めないと考えていました。
実際、2005年に中国で合弁会社を立ち上げましたが、合弁相手企業との方針の違いから2015年に撤退するという結果に終わっています。このときの経験を生かし、2012年に進出したインドネシアでは、現地パートナー企業との信頼関係を重視して徐々に事業を拡大していく方針を採り、成功を収めています。今後は、北米や東南アジア、オセアニアにおける存在感を高めていくとともに、中東まで事業を拡大できればと思っています。将来に向けてどの地域にどのような商品で進出するのが最適か、現在検討していますが、2035年度の目標を達成するには海外M&Aの実行は必須で、そのための調査・準備は継続して行っているところです。
成長戦略におけるもう一つの課題が、Salad Cafeと料理教室の最適化です。Salad Cafeはコロナ禍の中でかなり苦戦を強いられ店舗数も減らしましたが、やはり消費者と直接つながりを持てて、私たちの商品を知ってもらったり、フィードバックをいただけたりする場は重要です。消費者に一番近い、利益を上げるアンテナショップとしての機能はぜひ生かしていきたいと考え、再度挑戦していきます。一方、料理教室は今後、ビジネスパートナーとの共創の場としての活用や、営業部門のメニュー開発のための活用など、さまざまなことを検討しているところです。


「DX」を「BX」へと進化させ全社最適を目指していく
基本戦略アップデートの第二の柱が、「『スマート化』戦略の位置づけ再整理」です。これは、当初の中長期経営計画で「DX」としていたものを「BX(ビジネスプロセスの変革)」へと進化させ、全社最適を目指していくという戦略です。

IT戦略とBXの融合により、研究開発から調達、生産・物流、販売・納品、資金回収に至る一連のビジネスプロセス全体の最適化を図り、リードタイムの大幅な短縮を実現します。属人的になりがちな業務、部分最適に陥りがちな部署ごとの業務を基幹システムに統合し、一層の効率化、全社最適化を図っていきます。例えば営業面では、これまで過去事例の分析や部署間調整などによって提案準備に十数時間という時間を要していたものを、情報のワンストップ化によって圧倒的な時間短縮が可能となるでしょう。これにより、お客さまにお待たせしないという価値を提供できますし、効率化によって生まれた時間を顧客接点の拡大に充てることもできるようになります。さらに、研究開発から資金回収までの期間が短くなることで、ROICの向上も期待できます。BXの推進には、人材の確保・育成も含め、十分な資金を投下して取り組んでいく考えです。
「資本コストや株価を意識した経営」をさらに深化させていく
基本戦略アップデートの第三の柱が、「資本コストや株価を意識した経営のさらなる深化」です。これまで当社の経営は売上・利益を追いかけてきましたが、“キャッシュを生み出す力”が重視される時代となり、キャッシュの流れを捉え、資金効率を高めていく経営に転換していく必要があります。こうした考え方に基づき、具体的施策として、�@「キャッシュ・ベース・マネジメント」への移行と�A成長性・収益性・健全性の長期的なバランスを意識した投資の推進に取り組んでいます。
例えば投資の実行に際し、従来は「これくらいの期間で資金を回収できます。だから、この案件は大丈夫です」といった考え方が社内に定着していました。しかし、資金を回収するためだけの投資では意味がありません。本当に大事なのは「投資して、いくら稼げるのか」であり、根底から発想を切り替えていく必要があります。資金を稼いで投資を行い、投資で稼いだ資金で再投資を行うという、持続的な成長に向けたサイクルの確立を目指していきます。
もちろん、掛け声だけでそれを実現できるわけではありません。キャッシュ・ベース・マネジメントへの移行に合わせ、収益性を示す指標として「EBITDAマージン」と「ROIC」を新たに導入し、“キャッシュを生み出す力”を重視する経営の浸透・徹底を図ります。また、成長性の指標として、中長期経営計画の最終年度である2035年度の連結売上高目標を、当初の1,250億円から2,000億円へと引き上げました。健全性という点では、「ネットD/Eレシオ」を指標として採用し、長期的なバランスにも十分に配慮しています。
「資本コストや株価を意識した経営のさらなる深化」には、もう一つ重要な施策があります。それが、�B配当政策の見直しです。従来、「配当性向」を指標に配当を実施してきましたが、「DOE(株主資本配当率)」を指標とすることに変更しました。これにより、業績に大きく左右されることなく、安定した配当を継続して実施できるようになると考えています。さらに、配当の目標も、2027年度にDOE2.5%以上、2031年度にDOE3.5%以上、2035年度に4.0%以上と、段階的に引き上げていきます。成長によって生み出された収益を株主の皆さまに還元していくことは私たちの責務です。株主還元の強化によって、企業価値の向上も図られるものと認識しています。
最優先で取り組むべきは国内外のM&Aと量販店へのアプローチ、人材の育成
ここまで『KENKO Vision 2035』の見直しを中心に、当社のこれからの成長に向けた考え方についてお話しさせていただきました。では、実際にどのような施策を展開していくのか。ここからは、成長戦略の具体策についてご説明していきたいと思います。
『KENKO Vision 2035』のPhase1が終了する2027年度までの期間で、最優先で取り組まなければならないと考えているテーマが3つあります。
Phase1(〜2027年度)で取り組んでいくべきテーマ
- 01
M&Aを中心とした成長投資の実行
- M&A投資:
- 200億円
- 設備投資等:
- 50億円
- 基盤強化投資:
- 60億円
- 02
家庭用へのアプローチ
業務用から家庭の食卓へおいしくて安全な商品を量販店などを通じて一般消費者にお届けする
- 03
人材の確保と教育
多様な取り組みで活性化新たな発想や挑戦が生まれる組織風土を醸成

1つ目は、国内外のM&Aを中心とした成長投資の実行です。Phase1期間において、M&A投資で200億円、設備投資等で50億円、基盤強化投資で60億円の枠を設定しています。売上・利益を考えたとき、国内外でのM&Aを早期に完結させる必要があります。そして、先ほど申し上げたような、「投資→収益→再投資」というサイクルを早い段階で確立したいと思っています。国内・海外でのM&A投資は『KENKO Vision 2035』における中心的な成長ドライバーです。国内外問わず、まずはM&Aを実行し、さらなるジャンプのために次のM&Aにつなげていこうと考えています。
また、販売強化に見合った設備能力強化も急務です。すでにグループ内での集約生産や生産ラインの新設・増強を行っていますが、引き続き、生産能力増強、設備老朽化対応、効率化のための取り組みを進め、グループ内の生産最適化、稼働の平準化、安定供給力の強化を図っていきます。
Phase1における最優先テーマの2つ目が、家庭用へのアプローチです。業務用だけのビジネスでは、いずれ成長の限界に突き当たるのではないかと考えています。リスク分散という観点からも、私たちが長年培ってきた商品を一般消費者の皆さまにも直接お届けすることが重要です。これも先ほど申し上げましたが、当社の商品力、品質管理、安定供給網は非常に高いレベルにあります。特に、当社の品質管理の体制が一般消費者の方に直接商品をお届けするに足るか否かは、長い時間をかけて繰り返し点検を行ってきました。厳しい業務用食品のマーケットで勝ち抜いたおいしく、安全・安心な商品を、いよいよ一般のご家庭向け(B to C)に販売するときが来たと判断しました。B to Cという意味ではECでの展開も当然、視野に入っていますが、優先すべきは量販店へのアプローチだと考えています。
3つ目のテーマは、「人」です。さらなる成長に向けて積極的に打って出ようとしている今、社員一人ひとりのレベルアップが不可欠であり、人材の確保と教育に力を入れています。高い視座で変革と挑戦を推し進める人材を育成するため、新入社員から経営層までの階層別にビジネススキルやリーダーシップなどをテーマとした人材育成プログラムを実施しています。また、女性や若手社員向けにはキャリアプランを形成できる研修の実施など、多様な取り組みで活性化を図っていきたいと考えています。
2026年2月の東京本社オフィス移転も、こうした取り組みの一環です。柱や壁で区切らないワンフロア構成の執務スペースとなり、社員の動きが活発になりました。また、明るく快適な職場環境を整えることで、社員の働く意欲を高めるとともに、部門を越えた会話や交流を促し、新たな発想や挑戦が生まれる組織風土を醸成していきたいと考えています。環境の変化を、会社全体のさらなる活性化につなげていきたいです。
ケンコーマヨネーズは「静」から「動」へ

振り返れば10年近く前、コロナ禍に見舞われる以前の一時期、当社は安定的な成長が見込めるポジションに安住し、ビジネスに対するシャープな感覚、闘争心のようなものを見失っていたのではないかと思います。
しかし今、私たちは動き出しました。ケンコーマヨネーズは「静」から「動」へと変わっていきます。販売拡大に向けて、生産増強に向けて、新商品開発に向けて、M&A実行に向けて、BX推進に向けて、ケンコーマヨネーズは動き出しています。私がステークホルダーの皆さまに一番お伝えしたかったのが、この「躍動」です。
今からの10年間、当社は思い切った投資を行っていきます。その投資が動き出したケンコーマヨネーズを刺激し、会社を発展させる果敢な挑戦が生まれてくるはずです。そのとき株主の皆さまには、ぜひ「よし、やってみろ」と言っていただきたいと思っています。
私たちには、サラダを「サラダ料理」というジャンルにまで高めてきた誇りがあります。「サラダ料理」を国内外へと広げていくという指針に、「業務用専業メーカーから脱皮を図り、世界に通用する企業を目指したい」という想いを込めて打ち出したのが「『Global Food Solution Company』への転換」という『KENKO Vision 2035』の見直しのコンセプトです。私の想いがこの先どう引き継がれ、どのような形になっていくのか。今までの枠組みにとらわれない「新生ケンコーマヨネーズ」が誕生することを願い、次代へ確実につなぐという私自身の責務を果たす考えです。
最後になりましたが、当社は「ワクワク・ドキドキ」をお届けできる会社を目指し、全力を尽くしていきます。ステークホルダーの皆さまには、引き続きご支援くださいますようお願い申し上げます。
